電力自由化のメリット・デメリット ~賢い電力の買い方~

電力自由化のメリット・デメリット ~賢い電力の買い方~

電力自由化で地域電力会社や新電力会社を自由に選べる

電力の自由化、正確には電力小売の全面自由化が2016年4月1日からスタートします。小売の全面自由化によって、私たち一般家庭や、コンビニ、商店などの小規模な電力需要家は、どの地域の電力会社からでも、自由に電気を買うことができるようになります。

これまでのように、地域1社(関東地方にお住まいの方は東京電力1社)からではなく、中部電力や関西電力からも買うことができます。地域電力会社(現在全国に10社)以外にも、さまざまな業種の企業が、電力小売に名乗りをあげています(2016年2月8日現在、登録小売電気事業者は169社)。

地域電力会社以外に電気を小売できる電力会社は新電力会社と呼ばれます。このように多くの電力会社が、電気の小売にしのぎを削ることになりますが、電力小売の自由化には果たしてどんなメリットがあるのでしょうか。逆に、デメリットはないのでしょうか。それらについてご説明していきます。


実は2000年から始まっていた!?

電力の自由化という場合、実は、日本では2000年から実施されてきました。当初は、契約電力が2000kW以上の大規模工場などが対象となりましたが、その後、自由化対象範囲が広がり、スーパーやオフィス、小規模工場など、段階的に、需要家の対象が広がってきました。そのため、これまでの自由化は部分自由化と呼ばれます。

現在、自由化の範囲から除かれている対象(規制部門)は、一般家庭やコンビニ、商店、小規模事業所など、契約電力50kW未満の小口電力需要家のみとなっています。これらの需要家は、地域電力会社1社からしか電気を購入できず、また電気料金は、国によって規制されています。そうした規制がいよいよ4月1日から外され、すべての電力需要家は、どの電力会社からでも自由に電気を買えるようになります。電力会社を選べるだけでなく、電気の種類も選んで買うことができます。そのため、今回の自由化は、電力小売の全面自由化と呼ばれます。

ただし、電気料金については、一般家庭などへの影響を考慮し、2020年までは、国の審査による料金規制は、経過措置として継続されます。


電力自由化のメリット

電力小売の全面自由化のメリットは、なんといっても、電気を自由に選んで買える点です。一般の商品やサービスと同じように、消費者が電力会社を比較検討して、購入契約を結びます。すでに電力会社の間では、さまざまな料金プランを打ち出し、消費者の獲得合戦を始めています。
電気料金だけでなく、ガスや通信、スマホなどの携帯電話、さらに家電製品、電気自動車などとのセット販売による割引など、さまざまサービスが登場しています。

また、電気料金プランでも、夜間に電気を多く使う家庭、日中多く電気を使う家庭など、消費者のライフスタイルにあわせ、従来以上にキメ細かな時間帯別の料金体系を打ち出す電力会社も多くなっています。そうした、電力会社間の競争、電気料金プランの競争によって、電気料金の引き下げ競争が活発になることが期待されます。


電力自由化のデメリット

一方、デメリットについては、電力の安定供給についての心配があります。従来の地域電力会社1社の体制は、電気事業法によって、電力会社の地域独占体制が認められる半面、地域に対する電力の供給義務がありました。そのため、災害などは別として、国内でこれまで、大規模な停電になることはめったにありませんでした。しかし、電力自由化の先進国と言われる欧米各国、とりわけ米国では、2000年代初頭に、ニューヨークなどで大規模な停電が発生しています。すべて自由化が原因と言うわけではありませんが、国の規制がない分、電力会社の電力供給、送電管理体制などに不備が指摘されました。

地域電力会社は比較的規模が大きく、発電設備を多く保有しているため、供給力に心配ありませんが、新電力会社の場合、経営規模が小さい企業も多く、発電設備を保有していない電力会社もあります。そうした新電力会社は発電設備のある電力会社から電力を購入したり、工場の自家発電設備の余剰電力を調達して小売販売することになります。

また、経営が破綻つまり倒産する電力会社も予想されます。そうした場合、国は、地域電力会社の送配電部門に対し、倒産した電力会社に代わって電力を供給するよう義務付けを実施します。需要家に対する最終保障措置(セーフティネット)と呼ばれますが、これらは、いつまでもそれに頼ることは許されません。需要家にとっては、セーフティネットがあるから安心というわけにはいかないのです。

電気料金に関しても、2016年4月~2020年までは経過措置として規制料金が存続されますが、その後は、完全に自由となります。その場合、燃料費の高騰などで、各電力会社の料金が上昇する可能性があります。欧米各国では、料金上昇が、需要家への負担の増大を招いています。


まとめ

電力小売の全面自由化はこのように、電力の供給安定性、電気料金面などで、需要家の不安を抱えることも予想されます。一般家庭や商店、小規模事業所など、新たに自由化される分野の需要家は、電力会社の選択に当たっては、充分、慎重な検討が求められます。もちろん、従来の電力会社から契約を変更をしないという選択も当然あります。いずれにせよ、料金の割安度、サービスの充実度、供給の安定性などを考慮した選択が重要となります。



エキテンマガジン編集部

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