猫の手も借りたい?人手・働き手不足を考える

猫の手も借りたい?人手・働き手不足を考える

人口が減少し、猫の手も借りたいほどの人手不足・働き手不足が懸念されている日本。では、実際のところ、現在から将来にかけて日本の人口はどのような推移が見込まれているのでしょうか。今回は、日本の人口推移を展望しつつ、企業・店舗を経営するうえで講じておきたい人手・働き手不足への対応策についても考えてみましょう。

2060年には9,000万人台に・・・

「人手不足・・・」という言葉、最近ではさまざまな場面で見聞きするようになってきました。また、日本の人口は将来的にどんどん減少していくということも広く知られるところになっています。とはいえ、実際のところ、日本の人口はどの程度の勢いで減少していくのでしょうか。そもそも、本当に人口は減っていくのでしょうか。

下のグラフは、総務省統計局の「人口推計」の数値と国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」を組み合わせて作成した、2010年から2060年にかけた日本の総人口推移と生産年齢人口(15歳~64歳に該当する人口)の割合を示したものです。2017年までは人口推計にもとづく実際の数値、2020年以降は将来推計人口の予測値になります。

日本の総人口推移と年齢3区分別割合

2010年から最新の2017年までを見ると7年間で約130万人、人口が減少していることがわかります。また、生産年齢人口の割合も低下の一途をたどっていることがわかるはずです。特に、2010年と2015年では生産年齢人口が3ポイントも低下しています。これは、団塊の世代が65歳以上の前期高齢者になった、いわゆる2015年問題によるところが大きいと考えられます。ここ数年の推移を見ても、確かに人口は減り、生産年齢人口の割合は確実に低下していることがわかりますね。

では、将来的にはどうでしょう。こちらもグラフを見れば一目瞭然で、総人口は右肩下がりで減少していくことが見込まれています。2017年には1億2,670万人を数えた日本の人口は、2030年には1億2,000万人を割り、2045年には1億1,000万人割れ、2055年には1億人の大台も割り込み、2060年には9,284万人にまで減少するとの予測がなされているのです。

また、生産年齢人口も総人口と同じように低下の一途をたどる見込みです。2017年時点では総人口に占める生産年齢人口の割合は60%ですが、2055・60年には51.6%にまで落ち込む見通しです。2017年と2060年とを比較すると総人口で3,386万人減少、生産年齢人口の割合は8.4ポイントも低下すると予測されているわけです。

顕在化する人手・働き手不足
人材確保と業務効率化の対応を!

人手・働き手不足は、足元でも顕在化しています。2018年10月30日に厚生労働省が発表した同年9月の有効求人倍率(季節調整値)は1.64倍という数字に。有効求人倍率とは、有効求職者数に対する有効求人数の割合を示すもので、1倍を超えると人を欲している企業が多いことを示し、1倍を下回ると職を探している人が多いことを示します。

1.64倍という数字は、人を欲している企業が多い、つまり、人手が足りていないということをあらわすひとつの目安と考えられるでしょう。企業や求人を行う側にとっては、人材を確保することが困難になってきていることがうかがえます。

実際、エキテンマガジン編集部が11月に実施したアンケート調査では、「店舗を経営していくうえでお困りのことはありますか(複数回答可)」との問いに対して、600人中102人(17%)が「スタッフの求人募集を出しているが応募がこない」と回答しています。企業や店舗の運営・経営者にとって、人手不足・働き手不足は、差し迫る大きな課題となってきているのかもしれません。

現在そして将来にかけて、人手・働き手を確保することは厳しさを増し、「猫の手も借りたい」という状況が懸念されます。このような状況にあって十分に意識・対策をしておきたいことを考えてみましょう。ポイントは、いかにして良い人材を確保するかという点と、いかに人の手を抑えるかという点です。

人材確保へ、職場環境・体制整備を

人材確保の観点では、ひとり一人の従業員が働きやすく、働き甲斐が持てる職場環境を整備する、適正な人事評価制度を構築するといった取り組みが重要になってくるでしょう。また、人材を育成するということも優秀かつ長く活躍してくれる人手を確保するうえで重要です。このほか、労使やスタッフ間のコミュニケーション強化なども積極的に取り組むべきことでしょう。

業務効率化へ、ITツールなどの導入も積極的に

一方で、人の手を極力抑えるための業務効率化や業務改善に取り組むことも重要になってくるでしょう。会計処理や人事・労務管理、在庫管理や仕入れ・品出し作業の効率化などでは、例えばITツールやテクノロジーを活用して業務効率化を図るといった手法もあるはずです。人手・働き手が減少し、限られていく現状だからこそ、抜本的な業務改善を検討してみるべきでしょう。

出典:総務省統計局国立社会保障・人口問題研究所厚生労働省(一般職業紹介状況〈平成30年9月分〉について)
※本記事中の図版は、総務省統計局「人口推計(平成29年10月1日現在)」および国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」を加工・編集して作成しています。


※調査概要
調査名:コンテンツ需要把握調査
対象者:全国のサービス業、店舗、医院、学習塾などの経営者・従業員
回答数:600
調査時期:2018年11月1日~11月4日
調査方法:インターネット調査
調査機関:楽天インサイト株式会社