「遊びに来るような感覚で来店して欲しい」 地域の方々が気軽に集える場所にすることが夢

「遊びに来るような感覚で来店して欲しい」 地域の方々が気軽に集える場所にすることが夢

阿部 仁さん(理容室「JiN HAiR」オーナー兼スタイリスト)

東京・立川市に2018年5月、理容室「JiN HAiR」をオープンした阿部仁さん(32歳)。独立・開業に至った経緯と今後の店舗経営上の課題や夢、地域の顧客に対する想いなどについてお話を伺いました。

 

「長く現場に立ち続けたい」という想いから独立へ

――まずはお店をオープンした経緯について教えてください。

この店のオープンは去年2018年5月のことです。もともといつかのタイミングで独立したいという気持ちはあったんですけど、自分の年齢や周囲の環境も踏まえて開業を決めました。

――これまでのキャリアと独立・開業を決意したタイミングについて伺えますか?

高校を出た後、理美容の専門学校に進学して、卒業後に東京都内や千葉の理容室で9年ほど働き、その後、個人事業主として業務委託で3年ほど理容師をやってきました。開業を意識し始めたのは業務委託で働いていたときですね。

その頃はマネジメントも自分でやらなければいけなかったので、いい勉強になったというか。いろんな兼ね合いを調整しながら働くうちに、「経営まで全部自分でやってしまおう」という気持ちになったんです。

――それが独立を思い立ったきっかけというわけですね?

いえ、独立に関してはもっと前から考えていました。というのも、僕ら理容師が現役で働ける期間って、実は短いんですよ。60・70歳になってもハサミを持って現場に立てている人って本当に少ない。雇われの理容師だとなおさらで、ずっと危機感を抱いていました。だから、独立して、長く理容師を続けたいという想いは、ずいぶん前から持っていたんです。

阿部仁さん

――なるほど。そんな想いが実現したのが去年の5月だったというわけですね。

はい。ただ、僕には3歳になる長男ともう一人下に長女がいるんですね。その下の子が生まれるタイミングがちょうど店をオープンする頃だったので、本当に色々なことが重なった変化の大きな時期だったなって思います(笑)。

 

オープン当初は集客で苦戦も、現状はリピート率5割に

――開業までの経緯で苦労されたことはありますか?

テナント探しではだいぶ苦労しましたね。テナントがほとんど空いていない状況だったので。いい場所となるとそれなりにお金がかかりますし、かといって、へんぴな場所だとお客様は来てくれない。条件に合った物件を探すのには本当に苦労しました。色々探した結果、100点満点とは言えないものの、ここ立川市・西国立の物件に決めました。

――実際にオープンしてみていかがでしたか?

オープン直後はやっぱり集客で苦労しました。最寄りのJR西国立駅は大きな駅ではないので、客層としては地元の方が中心になります。ただ、地域に根差すまでにはそれなりの時間がかかるもので、オープン直後は「本当に大丈夫かな・・・」という状況もありました。

――その打開策はどのようなものだったんですか?

打開策とまでは言えませんが、店をPRするためにチラシを配りましたね。業者さんに依頼して、近隣のお宅に8,000枚くらいポスティングしました。以前勤めていた理容室での経験則もあってチラシでの集客効果はあまり期待していませんでしたが、それでも60名ほどの方がチラシを見てご来店くださいました。思ったより反響は悪くなかったですね。

阿部仁さん

――オープンから半年以上が経過した現状はいかがですか?

そうですね、店を出すときに考えていた予想売上に近づいてきているといった感じです。売り上げのムラも少なくて、一定の数字につながってきているので、ひとまずは、この調子でいければと思っています。

立地的にはどんどん新規のお客様が来てくれるという店ではないので、来てくれたお客様一人ひとりを大事にして、固定化につなげたいですね。現状、新規のお客様のリピート利用はだいたい5割ほどですが、理想としては固定のお客様が8割、新規のお客様が2割くらいのバランスになればと考えています。

――新規客のリピート率5割はすごいですよね?何か特別な工夫をされているんですか?

うーん、なんていうか、この仕事はお客様と一対一のやり取りなので、丁寧に応対するという点には気を配っています。会話のなかでお客様の空気を読んで心情を察したり、居心地の良さを演出したりといったことや、ちょっとしたサービスを提供したり、気の利いた応対をしたりして、お客様に特別感を覚えていただけるように心掛けていますね。

 

友達の家に遊びに行くような、そんなお店にしたかった

阿部仁さん

――ところでこちらのお店、店内にバーを思わせるカウンターがあったり、ゲーム機やテレビがあったりと遊び心を感じさせる作りになっていますよね?特別なコンセプトがあってのことですか?

コンセプトというか、なんて言うんだろうな。理容室とか美容室って、何となく自分のなかではちょっと敷居が高いというか、その敷居を一歩またぐ勇気みたいなものが必要な場だと思うんですよね。

でも、そうではなくて、誰でも気軽に入れるような店にしたいと考えていて。僕としては自分の家に友達が遊びに来てくれるような、そんな空間にしたいなっていう想いがあったんです。

――実際にゲーム機で遊ぶ方とかいらっしゃるんですか?

来店してくれた中学生の男の子とかはゲーム機で遊んだりしますよ。友達の家に遊びに行くような、そんな感じで来店してもらえるとうれしいですね。

店内写真1店内写真2

 

夢は地域に根差した場所にすること

――内装のこだわりにはとても深い想いが込められているんですね。

はい。実は僕自身、高校3年間、髪は自分で切っていたんです。それっていうのは、お店に行くのがどこか恥ずかしかったというか、行きたいけどなんか行けないなっていう気持ちがあったからなんです。どんな風に注文していいかも分からなかったですし。

だから、極端なことを言うと、自分の店は髪を切らなくてもいいから、誰でも気軽に入れるようなところにしたかったんです。この店は髪を切るためだけの場所じゃなくて、ちょっと漫画を読んだり、ゲームをしたり、テレビを見たりできる場にしたいというか。僕自身そういうところがあったらいいなっていう気持ちがあったので。

――誰もが気軽には入れるお店、いいですね!では、最後に今後の目標などを教えてください。

そうですね、まずは地域の方々に店のことをもっと知ってもらうことが当面の目標です。それから、この西国立のエリアで、何か面白いことができればとも思っています。例えば、店休日に地域の方々が習い事などで利用できるように店を無料で開放するっていうのもいいですよね。

阿部仁さん

あとは、目まぐるしく変化する社会のなかで取り残されがちな年配の方の支えになれたらとも考えています。一人ご自宅で寂しい想いをしているような方がいらっしゃるのなら、うちの店に来て、お茶でも飲んで、地域の方とおしゃべりをして、元気になってもらいたい。

この店がそういう場所になれればいいなって思っています。経営とはあまり関係のないことですが、そんな地域に根差した場所にしていくことが、ひとつの夢ですかね。

 


取材後記

取材後、阿部さんにカット&カラーをしていただきました。さすがはプロの技!一気に垢抜けました!

取材後記
byエキテンマガジン編集部/T